ここ数年のCANYONSのコース紹介PVを撮影・制作しているプロモーション担当のヒカルの主観で解説してみます。
「そんなの読んで楽しい人いるか?」
なんて声もありそうですが、需要ありますよね?
「ガイドが渡す物以外は更衣室に置いて行ってください」と説明してる矢先に防水カメラを忍ばせている…そう、アナタへ向けた
記事です。
はじめにご案内しておくと、キャニオンズのツアーでは基本的にはアクセサリーや時計、スマホやカメラ等の持ち込みはおススメしていませんしお断りする事も多いです。
ご経験された方はご存知だと思いますが壊したり失くしたり、怪我の原因になる可能性が非常に高いからです。
ただ、非日常の渓谷での体験が一生の思い出になる事を知っているので慣れている僕たちガイドがカメラを持って皆さんを撮影しプレゼントしているのです。
それでも「ガイドが撮るのとは違う映像を自分で撮りたい!撮る事自体も楽しみたい!」という気持ちも実は解るので、その時の水量や渓谷の条件・ツアーの状況等を判断して自己責任で特別OKする事もあります。
とはいえ、この記事を楽しんでくれるあなたは「そんな事はもちろん理解してるよ!」という方だとわかってもいます、ですので今日はあまりうるさく言わずに解説に入りますね。
さて、撮影テクニックと言い出しましたが写真・動画・機材・アングル…
言い出したらいろいろあるので今回はG○Pr○系アクションカメラで「遊びに集中しながら良い映像も残す」をコンセプトにした動画撮影テクニックに絞って綴ってみます。
やっぱり基本的に防水・防塵・耐衝撃性能が信頼できるカメラ以外での撮影はかなり慣れていないと難しいし、ツアーを楽しみながら撮影する場合はむしろ選択肢はほぼありません。
飛び込みやスライダーの振動・衝撃はもちろん、大きな滝に打たれる様なシチュエーションで浸水して故障が心配される機材はユースレス。
さらに録画ボタンを押すたびに画角を確認しながらでは遊びに全く集中できないので、感覚的に向けた方向全体を捉えて見切れの少ない広角レンズがノーストレスで満足いく映像を残すのを手伝ってくれます。
そう考えると一番簡単に良い映像を撮れるのは両手がフリーに使えて自分が見た方向が撮れるヘルメット取り付け可能なG○Pr○系アクションカメラです。
まずはヘルメットマウントに装着して撮る時のポイントを解説してみましょう。
キャニオンズではいくつかマウントがついているものもありますが、結構自分でそれ用のヘルメットをお持ちの方もいるので自分でセッティングする前提で説明していきます。
はじめにヘルメットマウントで考えなければならないのは取り付け位置。
だいたいマウントをつける位置は3か所に絞られると思います。
一番多いのは少し高い位置から狙うヘルメットのてっぺん、つまり頭頂部。
あとはおでこの辺りから正面を狙うか、こめかみの辺りから目の高さから狙う事も出来ます。
個人的におススメなのはおでこの辺りにマウントをつけて撮影する位置です。
ヘルメットの中で一番撮影者の実際の視界に近く、角度調整が一番簡単で見切れなど失敗が少ないです。
もし水圧などで角度がずれてしまった場合にカメラ本体が視界に入ってくるので気がつき易いというメリットもあります。
てっぺんから狙う場合は慣れていないと角度調整が難しく自分の視界と実際に撮れているアングルとのギャップがあるので思っているイメージと違ったり、遊んでいる内に角度がずれてあらぬ方向を撮り続けているなんて失敗も起こりやすいんです。
次にカメラ本体の設定について。
まずは操作音の設定!
へ?そこ?
って感じですがこれは地味に重要です。
操作音のon/offがあれば絶対にonに
音量設定があれば最大に設定しておきましょう。
ヘルメットマウントの場合は操作画面が見られないので耳で判断します。
「あれ?押せたかな?」とかいちいちヘルメットを外して確認したり
「これ押せてる?」って他の人に確認してもらう機会は少なければ少ない程ストレスフリーです。
さらには撮影開始と撮影終了の際は大体違う音が鳴るのでそれを覚えておくとよりスマート。
滝の音や人の声などが反響してうるさい渓谷内では操作音が重要。
次に自分が気にしているのは操作方法の設定。
主にG○Pr○には電源ボタンと録画ボタンがあって
通常ならまずは
電源ボタンを押して電源ON
↓
同じ録画ボタンを押して写真or動画などモードを選択
↓
任意のモードで録画ボタンを押して撮影開始
↓
動画モードならもう一度録画ボタンをおして撮影終了
↓
電源ボタンを押して電源OFF
一番長くてこんな手順を踏みます。
しかしヘルメットについているカメラをノールックで操作するのはいくら慣れていても
「あれ?今どのモード?」
とか
「今押せたのかな?」
とか混乱する事が多いです。
が、しかし!
G○Pr○はそんな事を当然の様に想定していて
電源OFFの状態でも録画ボタンを押すだけで任意の撮影を開始する機能が付いています!
なので今回のコンセプトでは録画ボタンを押したら動画が始まる設定を予めしておきましょう。
滝を降りる直前に録画ボタンを1度押して電源ON&撮影開始
↓
落ち着いた所でもう1度録画ボタンを押して撮影終了&電源OFF
これだけの操作なので迷いなく、余計な心配をしないで撮影とアクションを同時に楽しめます。
そしてこの設定のもう一つのメリットは何といってもバッテリーの持ちが良い事です。
撮影中はもちろんですがカメラはただ電源が入っているだけでもどんどんバッテリーを食います。
特に気温や水温の冷たい環境ではそれだけで残量はグングン減っていくのでこまめに電源をOFFしないと半日ツアーでさえ一番美味しい所でバッテリー切れを起こしてしまいます。
この設定ひとつでキャニオニング撮影の快適性と満足度が天と地ほど変わるんです。
…はい、夢中で書いてきましたがこの時点で話はまだ渓谷に行く前の準備段階でした笑
まだ読みますか??
読みたい方は勝手に読んでくれると思うのでマニアな方の為だけに続けます。
続いて渓谷内でのカメラの取り扱いについての注意。
一番はなるべくケース内やカメラ本体内部に水分が入らない様にする事。
なので防水ケースに入れている場合、一度入水したら絶対にケースを開けない!がベストです。
故障防止はもちろんですが、どんなにしっかり拭いても一度濡れた手で触れたり渓谷内で開封するとケース内に湿気が入り、一滴でも入ればその後レンズが曇る原因になります。
一度曇りだしたらまた開封して拭き取るしかないんですが、その行動で更にケース内に湿気を招き入れ、より曇り易くなっていく悪循環が始まります。
除湿用のシートなどもありますが、個人的にはツアーが終わるまでに曇りの原因の水分を除去する効果までは期待できないと思っています。
そもそも除湿シート自体がケース内にある訳だし…って個人的見解です。
もうひとつ注意しておきたいのが、レンズ付近の水滴
これが水場の撮影でもかなり厄介で忘れがちな敵です。
水に飛び込んだり滝を浴びるのが前提のキャニオニングではレンズに水滴がバンバンかかります。
それを気にせずに遊んでいたら全部のカット水滴まみれのボカシ映像しか撮れていなかった…なんてもったいない事がしょっちゅう起こります。
かといって録画中にキュッキュキュッキュ拭いてる指が映るのもイケてないので
自分は録画ボタンを押す直前にレンズケースを軽く指で拭うクセをつけてます。
これでも絶対に失敗しない訳ではありませんが、ほとんどのカットがダメになる事はなくなります。
絶対失敗したくなければ曇り止めや撥水の加工もアリですがラフな遊びですしね。
最後に気を付けるべきはアングル。
この場合はおでこに着けた時のカメラの角度です。
大体150度くらいの幅で上下に調節できる様になってますが
普段は少~し気持ち下に向けるぐらいが自分の視界に近く間違いないかと思います。
誰かを撮っていたり景色を映したい時、残念に思うのは大体思っていたより上を撮ってしまい足元とか綺麗な水面がフレームアウトしてしまっている時です。
上は見切れないの??というと
空を映したいな~とか高い所からジャンプする人を撮りたいと思っている時は大体上を向くものなので結構大丈夫です。
もしも角度の急なスライダーやラペリングする時に自分の目線を撮りたいなら更にもう少し下を向く様に角度調整してみるのも良いです。
急なスライダーや滝つぼへの飛び込みを撮るときには真正面を撮るよりも自分のシューズが映るぐらいの視界の方が高さやスピードが伝わりやすく、水面に飛び込む臨場感があり、実は映像としてもブレが少なくクウォリティも高いんです。
ラペルする時も同様でちょっと下を向いた時にハーネスやエイトカン等ギアが映るとそれっぽくてカッコ良かったり、振り向いた時にロープを操作する手元や足運び、滝が打ちつける水面が映るとよりキャニオニング感のある映像になりやすいです。
滝の中を降りている時なんかはレンズが下を向いている方が自分の頭やカメラ本体そのものが傘の役割になりカバーしてくれて水滴よけになったり、シチュエーション的にもまさに滝の中にいる状況が伝わりやすい非日常的な映像が撮りやすく、太陽が高いお昼時の一番日光が滝に当たっている時間帯にこれをやると滝つぼに虹の輪が映っていたり、そういうのを目線で撮りたければこの方法は有効です。
と、わかりやすい図もなくズラ~っと語ってしまいましたが参考にはなりましたか?
ちなみにCANYONSのPVでは一眼レフやドローンなど様々な機材を使いますが、今回語ったアクションカメラも多様しています。
是非探してみて下さい。
Willow canyon PV
Fox canyon PV
今回は撮影の成功率の一番高いヘルメットマウントを使用した撮影のポイントを解説してみました。
もしこんなマニアックな内容に本当に需要がありそうであれば次回はポールマウント(自撮り棒?)を使った撮影のコツなんかも解説できるかもしれません。
長文駄文でかなり主観的な内容でしたが、興味を持って最後まで読んでくださったあなたに
ありがとうございました!
ヒカル