ガイドとして現場に出た時によくお客さんから聞かれるのが「こういう仕事って資格とか必要なんですか?」なんですが…
端的に言うなら「NO」なんですよね。
正確に言うと、
ガイドになるには結構色々知識や技術は必要だけど、全国レベルでの統一的で体系的なトレーニングや資格は整備されていない
でも日本にはガイドに関する法律や規制がないので誰でも明日から『ガイド』を名乗れる。
というのが現状になります。
実際はアウトドア会社単位で基準を設けて、それぞれガイドにトレーニングを施した上でツアーをやっているのはずなのですが。。。
現状は一部のガイドや会社は割と怪しいところもある、というのが個人的な見解です。
誤解のないように言っておくと、キャニオンズでもガイド全員が国際資格を持っているわけではないです。(国内でのCIC資格保持者はおよそ20名程度でその半数近くはキャニオンズに所属していますが…)
キャニオンズでは国際規格とされているCICという団体のトレーニングを基礎として、コースに合わせたトレーニングを行い、社内での基準に見合ったレベルに達した人のみ現場でガイドが行えるという仕組みになっています。
2017年春にキャニオンズで行われた新人トレーニング(インストラクションをしているのはツアーマネージャーのAki)
そんなキャニオンズのトレーニング、細かい部分はキャニオンズで行われているツアー向けに変更して行っていますが、CICのトレーニングをベースに、他社より大分厳しめな基準でガイドの選別を行っています。
なので訓練生からガイドに上がる人が3割以下!なんて年もありますし(平均50~60%)、中堅レベル以上のガイドは基本的にCIC Module 1&2と同等になるように訓練を積んでいますので、キャニオンズのガイドとして働きながら修行を積めば2~3シーズンで他の国に行ってもある程度は通用するレベルになれるハズ!ってことですね。
さて、前述の国際資格CICを発行している団体、正式名称は『Commission Internationale de Canyon』といいます。
直訳すると『国際キャニオニング委員会』です。なんだかカッコイイ名前ですよね~
元々CICと呼ばれるようになる前はCECと呼ばれ、Internationalの部分がEuropa、つまりはヨーロッパのキャニオニングを統括する組織でした。
以前のジョリーの記事にある通り、キャニオニングはその危険さ故に有名になった部分があり、90年代頃には保険適用外になる典型的なスポーツの一つとして認知されつつあったキャニオニング。
創設者であったステファン・ホフマン(ドイツ)を中心にCICは非常に厳しく、質の高いトレーニングと資格制度を整備し、ヨーロッパの一部の国では「CIC資格がないとガイド業ができないのが普通」というところまでいきました。
CICで使われていたプレゼンテーションの1枚、天気の重要性についてドイツ語・英語で書かれていた。(Ogiが参加した2010年は参加者が通訳しながらだったので通訳する人は結構大変でした…)
そんなCICトレーニングの内容はキャニオンズに結構出入りしている方ならガイドから噂を聞いているかもしれませんね~
曰く、「圧力半端ない新兵訓練のようなトレーニング」
曰く、「吐くほど泳がされる」
曰く、「常に採点され、心身ともにボロボロになる」
Ogiが受けた2010年のCIC、Level 4の渓谷「ディアキャニオン」(11月だったので極寒すぎて途中で中断された)
他にもいろいろあると思いますが、間違いなく世界でも最高基準の厳しさを誇るトレーニングであることは受けた僕も保証します(笑)
ただ、受けた人が共通して言うのは資格がもらえても、もらえなくても「受けてよかった」ということ。
厳しいトレーニングを乗り越えた先には確実にレベルアップした自分がいたというのが受けた僕個人の感想です。
2010年のCICは海外(NZ)からわざわざ受けに来ていた参加者もいた。(写真の中心に映っている人はガイドのリアル解説シリーズでよく参考にされている「Canyoning in New Zealand」の編纂者の1人)
実際、CICの基礎であるModule 1&2のトレーニングコースは14日間でプロフェッショナルなガイドを養成するのが目的なので、2週間毎日、昼夜ぶっ通しで行われます。
朝食前に小一時間ほどのフィットネス(ランニング・筋トレ)で軽く追い込まれ、朝食後の座学、午後のロープワーク、そして日没後に各自で行う復習の時間…まさに1日15時間くらいを2週間(中1日休みがあるので実際は13日間)毎日、インストラクターが意図的にかけてくるプレッシャーの中で行います。
当然心身ともに準備不足の人は受かりませんし、僕が受けた時もキャニオンズのガイドはほぼ全員合格しましたが、キャニオンズ以外からの参加者は合格率は半分もしくはそれ以下というイメージでした。
2007年に日本で開催されたModule 3。手前はMikeさんで、中心で茶色のTシャツを着ているのはなんとAkiraさん!(このコースでAkiraさんはアジア人初のModule 3をガイドとなった)
厳しいトレーニングがあってこそ難易度の高い渓谷を安全にガイドできる質の高いガイドができる。
そもそも資格なんてなくてもガイドになれる日本において、世界最高峰と言われるCICを採用してこそキャニオンズの目指す『国際基準』が実現できるということ。
まだまだ道半ば、これからもキャニオンズのガイド達は世界で通用するガイドを目指して日々頑張っていきます!
少し余談になりますが、キャニオンズでも現在CICと協議しながら日本独自の資格制度の話も進めてはいますが、課題が多すぎて難航しているようです。。。
1日でも早く日本でも体系的にまとめられた質の高いトレーニングが提供され、業界全体のガイドレベルが上がって安心・安全なツアーが全国で当たり前になりますように!
それでは!今日はこの辺で~
Ogi
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